『越境学習』ってなんだ?

6/29に「キャリア自律を考える ―『越境学習』がもたらす個人と組織への影響とは?―」 というキャリアカウンセリング協会が主催しているウェビナーに参加しました。

 

越境学習」という言葉なんだけど、法政大学大学院の石山恒貴教授は、「自分にとってのホームとアウェイを行き来することによる学び」と定義しています。もともとは立教大学の中原淳教授がこの越境学習を定義づけしたようですが、そういや数年前に中原教授の講演を聞いた記憶があるなぁと記憶をたどると・・・

 

ありました、ありました。2019年8月末にDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの「EI感情的知性シリーズ最新刊『セルフ・アウェアネス』発売記念イベントがあって、それに参加していました。

 

セルフ・アウェアネス」っていうのは「自己に意識を傾けること」で、「自分は何者なのか」「自分は何がやりたいのか」という問いに向き合うことなんですね。これを実践しようと思えば、確かに越境学習という手段や方法は有効かも?自分のホームとそれを超えたアウェイを行き来する中で、自分の強みや弱みを理解することに役に立つかもしれないなぁ。それがキャリアの自律につながっていくことは当然といや当然でしょ!

 

ウェビナーで知ったのだけど「越境学習によるVUCA時代の企業人材育成」といって、経済産業省が「未来の教室」事業としてやってるんですね。ここでは、越境学習の体験をすることで、自分自身の軸を再発見し、不確実で変化の激しい時代を切り拓くリーダーとしての成長を実感することができたとしています。経産省としては、日本企業の課題として、次世代の企業リーダーを育成することを掲げ、そのためのプログラムとしているようですね。

 

石山先生の講演では、マーク・L・サビカスの「キャリア・アダプタビリティ」の4C「Concern(関心)、Control(統制)、Curiosity(好奇心)、Confidence(自信)」にも言及されていました。また、「会社の価値観」と「自己の価値観」の引き剥がしが重要だという話があり、これは、今までの考え方を大いに反省する必要があるかとも。というのも、今までは、会社の価値観と個人の価値観を会社側に一致させることが、個人のモチベーションと会社の生産性を高めるために必要だとされていた面があり、個人の価値観を中心に考えることはあまりなかったと思います。

 

前述のサビカスの「キャリア・アダプタビリティ」をはじめ、最近のキャリア理論を見ていくと、個人は個人の価値観があり、会社には社会に対する使命や理念・目的があってそれらが共感することはあっても、会社の使命や理念・目的のために個人の価値観が犠牲になるということがあってはダメなんだよね。

 

こういった考え方がだんだんと浸透してくると、とてもよい社会が実現するような気もするけど、現実はなかなか厳しいところがあるようにも感じます。一部の大手企業は社員に対して、こういったキャリア構築についての対応はできているところもあるだろうけど、多くの企業は厳しい経営環境の下、企業の課題としての優先順位を考えるとなかなか対応するのが難しいのかもしれません。でも、「越境学習」を広くとらえて自治体や地域ボランティアを含めて考えると、「越境学習」の環境は、会社以外でも実現は可能なんだよね。

 

働き方改革と言われて久しいけど、労働市場の流動化は間違いなく起きていて、この波は激流になってくるかもしれません。その時、個人のキャリアに対してのスタンスが明確で、しっかりと対応している企業に優秀な人財が流れるのは間違いないでしょう。

*2020年、2021年は転職者数が減少しているけど、転職希望者は増加しています。コロナ禍においての転職者数の減少は、政府の「雇用調整助成金」などの支援によって、労働者の雇用が守られて転職者の対象である「過去1年の離職者数」自体が減少したことによると思われます。

 

「越境学習」がこれからのスタンダードになってくるのか、とても興味深いところです。