現場でどう伝えるか「キャリアコンサルタントとアサーション」プチ講座

7月27日に株式会社キャリア・ストラテジー主催の「現場でどう伝えるか「キャリアコンサルタントとアサーション」プチ講座」を受講しました。

 

「アサーション」とは、直訳すれば「断言」「断行」「自己表現」と訳されているようだけど、ここでは「自分も相手も大切にする自己表現法(アサーション入門:平木典子)」と捉え、いろんな価値観や多様性が叫ばれる現在ではとても重要なスキルだと思います。今回は1時間のプチ講座だったので、アサーションの基本的な考え方の紹介がメインでした。

 

人間関係における自己表現は大きく3つのタイプがあるとアメリカの心理学者ウォルピィは言います。

(自己表現の3つのタイプ)

1)非主張的自己表現

2)攻撃的自己表現

3)アサーティブな自己表現(バランスが大事)

 

この3つのタイプのうち、3番目が、自分も相手も大切にするアサーティブな自己表現で、自分中心でもなく、相手に依存するわけでもない、ほどよいバランスがとても大事なんですね。

これらの自己表現は同じ人でも、相手や場面、状況によって使い分けていることがあるし、非主張的自己表現のタイプの人でも、その状況が積み重なってストレスがたまってくると、突然、攻撃的自己表現に変わることもあるようです。

 

たしかに、相手に対しての感情は、立場や状況によっても変わるものだし、コミュニケーションのやり取りの中でも、常に立場や状況は変化しているものだしね。

アサーションスキルを4つのステップに体系的にまとめた「DESC(デスク)法」というのがあります。DESC法の4つのステップは

1. Describe(描写する)

2. Express(説明する)

3. Suggest(提案する)

4. Choose(選択する)

となっていて、まずは、課題や状況の客観的な事実を伝え(1. Describe)、その伝えた内容について自分の意見や思いを素直に表現する(2. Express)。そして、課題解決やアイデアを相手に具体的に伝え(3. Suggest)、相手がこちらの提案を受け入れた場合と受け入れなかった場合、それぞれに対して結果や選択肢を示す(4. Choose)。

 

このステップを踏むことによって、互いに信頼関係を築きながらよいコミュニケーションをとることができるようになります。

 

アサーションはひとつのコミュニケーションスキルではあるけど、人として誰もがやってよいこと(人権)をとても大切にすることを前提としています。それは次の3点です

1)私たちのは、誰もが自分らしくあってよい

2)人は誰でも自分の気持ちや考えを表現してよい

3)人間は過ちや間違いをし、それに責任をとってよい

また、アサーションには、「タスク機能」と「メンテナンス機能」の2つの領域があります。メンテナンス(関係維持)のアサーションは自分や他者の気持ちや考え、存在そのものを受け止め、それに応答し、協力、協働しようとする姿勢と言動が含まれます。タスク(課題)達成のためのアサーションは、状況をしっかり分析し、問題を見定め、客観的に妥当な解決策を決め、実行するためのやり取りです(アサーション入門:平木典子)。

 

メンテナンス(関係維持)機能が回復、修復、維持されて「平常」が保たれます。その上にタスク(課題)機能の目標や課題を解決するアサーションがあります。この2つの機能のアサーションは、日常のコミュニケーションには両方とも必要なものとなります。

 

今の社会の状況は、いろいろな情報があふれていて、それぞれの人の価値観もさまざまです。また、うそやごまかしが横行する反面、それを見破られることも多くなってきています。人と人とのうそ偽りのない関係性の中で、お互いを尊重しながら自己表現を行っていくアサーションがこれからの時代には必須のスキルとなっていくような気がします。